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2020/04/18

  • 校長より

創立記念日にあたって(2020/4/18)

「本来ならば」という言葉を2月下旬から何度口にしてきたことでしょう。「本来ならば」数々の行事や式典を開催し、達成感や充実感を味わうことができたのに ——。「本来ならば」仲間や教員と顔を合わせて討論する中で、自分の意見を醸成し、発信できたはずなのに ——。「本来ならば」木々の若葉が眩しい西生田キャンパスで、沢山の新しい出会いに胸躍らせていたはずなのに ——。しかし、生徒達は「今、自分は何ができるか」と真摯に考えながら、辛抱強く毎日を過ごしています。
そして、「本来ならば」今日(4月18日)、本校では創立記念式典を予定していました。一世紀以上前の1901年4月20日、日本女子大学校開校の式典は、東京目白台にて挙行されました。当日は創立者成瀬仁蔵の教育理念に共感し物心両面の支援を続けた渋沢栄一氏や大隈重信氏等、錚々たる顔ぶれが揃い、盛会だったという記録が残っています。日本の女子高等教育の黎明期にあって、本学は「規模の大きい秩序だった女子総合大学」を目指して創立され、併設の附属高等学校の歴史もこの時始まりました。創立者の教育理念を示す「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」の三綱領は、本学に学ぶ者の中に現在も脈々と継承されています。創立から119年の年月を経た2020年の春、生徒達には、自らを見つめ、自分の進路を真剣に考え、近い将来「大学」という高等教育の世界に足を踏み入れるために必要不可欠な基礎知識と学問への向き合い方を身につけてほしい、「自分は何をしなければならないか」を考え続けてほしいと願います。
本校では創立記念式典を行う日に、3年生が来春の卒業を記念して植樹を行います。自治会の園芸部の生徒達が中心となって決めた「ハナミズキ」の若苗が、今年も既に中高グラウンドに仮植えされています。当日は学年主任教員による話の後、皆で「祈りを込めて学び舎に 友よ 植えよう この若木」というフレーズが繰り返される『木植えの歌』を歌いながら、順番に樹木に水を掛ける予定でした。生徒達には登校可能となった際、是非「私達の樹」を愛でてほしいと思います。
生徒達と直接の対面がないままに、2020年度が動き出しました。始業式・入学式は延期し、休校が続いていますが、教員一同、インターネット環境を利用した学習支援システムmanabaによる「遠隔教育」を通して、本校の教育を絶やすことなく継続できるよう、初めての試みに努めております。ホームページ「高校生活レポート」に休校中の教育活動の様子が描かれていますので、是非ご覧ください。
先日、生徒達へmanabaを通して配信した私からの手紙の中で、チャールズ・チャップリンの映画The Great Dictatorの ‘the concluding speech’ を紹介しました。 “We all want to help one another. Human being are like that. We want to live by each other’s happiness ….” という一節です。舞台は全く異なりますが、どんな困難な状況においても、希望を失うことなく、お互いに助け合って生きていきたい —— 人間とは本来そういうものだという力強いメッセージです。
最後になりますが、現在、新型コロナウイルス感染拡大の過酷な状況下、社会を支えるために奮闘してくださっている全ての方々に心より感謝申し上げます。生徒への教育を担う私どもも、今後とも誠心誠意取り組んでまいりたいと存じます。

校長 薄 由美