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2021/03/15

  • 高校生活レポート

卒業式(2021/3/15)

やわらかな陽光のあふれる中、3月15日(月)に高等学校第73回生の卒業式が挙行されました。今年度は、新型コロナウイルス感染症対策として、時間を短縮するため内容を簡略化し、在校生の列席は見合わせる形での開催となりました。保護者に見守られる中、式典は卒業生への卒業証書授与、校長先生の告辞、来賓の祝辞、在校生代表の送辞、卒業生代表の答辞の順に、厳かな雰囲気で進められました。卒業式に続いて謝恩会となり、各クラスの謝恩会委員が中心となって撮影された動画が映写されると、会場は懐かしい思い出に包まれ、和やかな会となりました。その後は各教室で担任の先生から卒業証書や皆勤賞の賞状等を受け取り、母校や友人との別れを惜しみながら晴れの門出となりました。

生徒の言葉:卒業生代表・自治委員長による答辞

三月、それは冬から春への変化の時期です。木々が葉を落とし、森が静まり返る冬を終え、新たな命が芽生え始める春の訪れ。一年のサイクルを終えた三月までの森に別れを告げ、次なる命へと生まれ変わる時期。しかし、植物の生まれ変わりは、完全に新たな命になるわけではありません。役目を終えた彼らは土に帰り、その上に次の命が重なるのです。
三月、それは新たな命の始まりでもあります。私たちも、三月の今日、高校の三年間に区切りをつけ、ここでの経験を糧として、次のステップへと踏み出そうとしています。
高校生活の三年間には、数え切れないほどの思い出が積み重なっています。着慣れないブレザーに身を包み、これから始まる高校生活に期待と不安を持って臨んだ入学式。学年の壁を越え、同じ色の鉢巻きで団結した運動会。普段のクラスを離れ、クラブでの努力を披露したもみじ祭。クラスの絆を深め、47 人で成し遂げたスポーツデーと音楽会。一年生の頃は、ただガムシャラに勉強と友人関係とクラブの間を駆け回っていました。二年生の頃は、上級生と下級生の狭間という難しい立場に立ちながら、上級生の背中をひたすらに追いかけました。三年生では、責任の重さに不安と恐れを抱きつつも、最上級生として一生懸命振舞ってきました。毎日授業を受けて、クラブや委員会活動をしたり、友達と話したり、そんな高校生活を二年間続けてきました。
最後の一年となる今年度。二年生までの経験を基に、最上級生としていつも通り過ごすはずでした。しかし、私たちの思い描いていた一年は訪れませんでした。自分が上級生になったらこんな事がしたい、地域研究で思い出を作りたい、人生で最後の運動会・もみじ祭・音楽会を全力で楽しみたい。そんな願いは最後まで叶うことはありませんでした。今後の私たちを構成する大事な記憶となるはずだったものが得られなかったことに、初めは悲しさと悔しさしか感じられませんでした。けれど、時が経つにつれ、私たちは現状を前向きに捉えるようになりました。
クラブ活動が無くなった分、教室にいる時間が長くなり、クラスメイトと過ごす時間が増えました。例年とは異なる形での開催となったもみじ祭や音楽会のおかげで、クラスで制作した壁画や動画を、思い出として残すことが出来ました。例年であれば、クラブや研究グループ・委員会活動などに忙しく立ち回り、経験することはできなかったクラスでの時間は、私たちにクラスという存在の意義を教えてくれました。
クラス・ホームルームという存在は、ほとんどの場合、高校までです。大学からは各自で授業を選択するため、大勢の学生が集まるのは入学式などの行事のみとなります。大学からは無くなってしまう、高校生だけの習慣はいくつもあります。
一人一人にクラスとなる教室が割り振られ、固定されたメンバーが「クラスメイト」となること。朝、教室でクラスメイトにおはようと言う事。帰り際に皆でさようならを言う事。移動教室の後もクラブ活動の後も、必ず自分の教室に戻ってくること。クラスとは学校において「自分の家」のような存在であると私は思います。クラスメイトという存在は所謂友達とは異なります。同じクラスにならなければ、関わらなかったであろう人も大勢います。しかし、例えどんなに趣味嗜好が違ったとしても、クラスメイトは私たちにとって大切な存在です。それは、クラスが家と同じ存在であるように、クラスメイトが「家族」のようなものだからではないでしょうか。クラスはいつでも安心して帰ってこれる場所であり、一人一人の居場所なのだと思います。大学からは、そんなクラスという居場所はありません。毎朝同じ教室に行って挨拶をすることも、みんなで行事に参加することも、もうないのだと思うと、とても寂しいです。これからの私たちは、それぞれが叶えたい夢や将来に向かって、別々の道を歩んでいくのです。先が見えない不安を抱えつつ、未来への希望を胸に一歩ずつ前に進んで行きたいと思います。
今年度、当たり前だった日常は突如崩れ去りました。同時に、普通に三年間を送っていたら、考えることもなかったような、対面で受けられる授業の有難みや、友達と毎日会えることの楽しさを知り、当たり前を当たり前に送れるだけで幸せだと気付きました。一二年生の皆さまは、残りの高校生活の一日一日を悔いのないよう、全力で送ってください。きっとここで得た経験が今後の人生で皆様の支えとなるはずです。
最後に、三年間私たちを導いてくれた先生方、日々の学校生活を支えてくれた職員の皆さま、いつでも私たちの一番の味方で居続けてくれた両親、そして高校生活で私たちと関わってくれた全ての方に感謝いたします。三年間、私たちを支えて下りありがとうございました。
もう間もなく暖かい春が訪れます。新たな命の誕生と共に、私たちの新たな生活も、今、始まります。

令和 3 年 3 月 15 日

卒業生代表