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2020/03/15

  • 高校生活レポート

卒業式(2020/3/15)

前日の春の雪から一転してやわらかな陽光のあふれる中、3月15日(日)に高等学校第72回生の卒業式が挙行されました。今回は新型コロナウイルス感染症対策として、時間を短縮し、内容を簡略化した形での開催となりました。保護者・来賓の参列はご遠慮いただき、卒業生と教職員のみが出席し、卒業生356名への卒業証書授与、校長先生の告辞、在校生代表の送辞、卒業生代表の答辞の順に進められました。卒業式に続いて謝恩会となり、各クラスの謝恩会委員が中心となって撮影された動画が映写されると、会場は懐かしい思い出と共に笑いで包まれました。その後は各教室で担任の先生から卒業証書や皆勤賞の賞状等を受け取り、母校や友人との別れを惜しみながら晴れの門出となりました。

生徒の言葉:卒業生代表・自治委員長による答辞

春に向けて、だんだんと温かくなる生田の森は、まるで私たちの門出を祝福し、新たな一歩を応援してくれているように感じられます。また、肌をかすめる冷たい風は、卒業という節目に私たちの気持ちを引き締めてくれているようです。
この生田の森で過ごした三年間。皆さんは何を学び、何を感じて来ましたか。勉強、九部・委員会、クラブや研究グループ。取り組むものは違っても、一人一人が一生懸命に努力し、成長を感じられる三年間になったと思います。その輝く思い出の一瞬一瞬を共に過ごした仲間や、支えてくださった先生方はかけがえのない存在となったのではないでしょうか。
本校にはクラス単位で活動する行事が数多くありました。遠足、運動会、軽井沢セミナー、スポーツデー、音楽会。特に、最高学年として参加した運動会やスポーツデーは思い出深いものになったと思います。クラスの仲間が運営の中心として行事を作り上げていく姿は、とても頼もしく、協力していく中で一体感が強まっていくことを実感しました。競技と応援に一丸となって汗を流し、共に楽しんだ思い出は、私たちの青春とも言えるでしょう。本来であればクラス単位の行事として、高校生活の最後に音楽会にも臨むはずでした。中止にはやるせなさを感じますが、曲決めや準備にはクラスごとの個性が表れており、最後の行事に向けて一致団結していく様子を肌で感じていました。今日まで、様々な行事を通してそれぞれのクラスでいくつもの思い出が紡がれてきました。ホームルーム教室は居心地の良い空間となり、このクラスで良かったと心から思えた人も多かったはずです。毎日の授業や行事を通して培ったクラスの絆は、私たちにとってかけがえのない財産です。
また、クラブや研究グループの活動も三年間の高校生活を鮮やかに彩ってくれました。入学当初、私たちはいち早く成長すべく、上級生の背中を見ながら懸命に活動に励んでいました。その私たちの後ろに、今では二学年の下級生がおり、瞬く間に別れを惜しまれる立場となりました。仲間と共に過ごした時間は、短いようで長く充実しており、それぞれの活動を通して自身と周囲の成長を感じられたことと思います。その成長の成果を、もみじ祭ではスパークというテーマのもとで遺憾なく発揮しました。友人の活躍を応援しながら自らも精一杯の輝きを放ち、この生田の学び舎は努力や笑顔、涙で輝く空間となりました。
そして、本校の自治の根幹ともいえる九部・委員会では、それぞれが自らの役割を全うしてきました。その中で、クラス・学年を越えた出会いや、学校生活に貢献する達成感を得られたと思います。先生方に見守られながら、話し合いを何度も重ねて実行に移し、それが完成された時の満足感と喜びは何ものにも代え難いものでした。壁にぶつかった時も、仲間と共に考え、前へ進み続けたその努力は、得難い貴重な経験です。それぞれに役割は異なりますが、私たちが行ってきた活動は、伝統ある自治の精神を受け継ぎ、生徒主体によって行われた誇れるものだったと思います。
今日までの高校生活はあっという間でしたが、その一歩一歩を辿ると数多くの経験と学びに溢れていたことが分かります。共に歩んだ道の先にはそれぞれの未来が待っています。その未来はそれぞれの選択によって絶えず変化し、同じ未来はありえません。自らの選択に責任を持って力強く前に歩むしかないのだと思います。しかし、それこそが、大人と子供の狭間にいた私たちが、大人へ成長することなのだと私は思います。選択を迫られた時、本校で培った知識や経験はきっと私たちを助けてくれます。後悔しないようじっくりと考え、楽な道ではなく正しい道を選び、本校の卒業生として今後も成長していくことが、お世話になった方々への恩返しになるのではないでしょうか。
春から世界は更に広がり、今まで以上の経験や学びが私たちを待っています。充実した三年間に名残惜しさを感じますが、一人一人が自分の道に向かって、『卒業』という新たな一歩を踏み出しましょう。その一歩に際し、指導してくださった先生方、一番の理解者として支えてくれた家族、そして、この講堂で一緒に座っている友人への感謝の気持ちを忘れてはいけないと思います。改めてではありますが、七十二回生を代表して、三年間私たちを支えてくださった全ての方に感謝の気持ちを伝えさせていただきます。私たちを今日という日まで、温かく時には厳しく見守りながら、常に味方でいて下さってありがとうございました。皆様への感謝の気持ちを忘れずに、私たちは今日、新たな一歩を踏み出します。
冬の後に春が訪れるように、寂しい別れの後にも新しい出会いはやってきます。この学び舎での思い出と経験を活かして、春からの新しい生活に踏み出していきましょう。桜の花びらが舞う頃に、皆がそれぞれの道を笑顔で力強く歩み始めることを願っています。