テレビ朝日アナウンサー 下村 彩里 さん(児童学科卒業)

2022.09.08

どんな時も胸の高鳴りを追い求めて

テレビ朝日アナウンサー(児童学科2019年卒)
下村 彩里さん
学園ニュース VOL.277
JWU PR アンバサダーによる卒業生 interview

若葉の緑もよりいっそう色濃くなった5月中旬、六本木ヒルズとともに港区のシンボルであるテレビ朝日本社を訪れました。今回お話を伺ったのは、現在「報道ステーション」のフィールドリポーターを務める、テレビ朝日アナウンス部所属の下村彩里さん。バレエに打ち込んだ学生時代からアナウンサーを目指すまでの道のりとアナウンサーという仕事についてインタビューさせていただきました。

好きなことを全力で応援してくれた

附属豊明幼稚園から大学まで本気で取り組んでいたバレエに対して理解を示してくださる先生方が多く、好きなことを全力で応援してくれる環境にはとても感謝しています。大学を休学してのバレエ留学も、児童学科の先生方が背中を押してくださったおかげで実現したことです。何事も「好き」を極めること、そして悔いなくやりきることの大切さを留学から学びました。学生の皆さんには今しかできないことを想像し、それを実行に移す勇気を持ってもらいたいと思っています。さまざまな分野で強みを作っていき、出会いのチャンスを増やすことが未来の可能性を広げることになるのではないでしょうか。

ミラノ・スカラ座バレエ学校留学中の下村さん

日本人であるということ

留学先のカナダ・イタリアでは言葉の壁にぶつかりながらも、世界中から集まった友人たちとバレエを通して深い交友関係を築くことができました。バレエ学校では唯一の日本人であったためクラスメイトからは日本文化についてたくさんの質問を受けました。レッスン後に現地の日本料理店で皆と過ごした時間は忘れられない思い出です。約2年間にわたる海外生活で新たな角度から日本文化の良さに接し、日本人であることの誇りを再認識しました。この経験が日本の魅力を世界に伝えていきたいと帰国後に励んだミス・インターナショナルの活動を支えてくれていたと思っています。

女性とのコミュニケーション

女子校という環境で10年以上学生生活を送れたことで、女性同士にはありがちな繊細なコミュニケーション能力が自然と身についたことは、今の仕事に実はとても役立っています。仕事への取り組み方やプロセスにおいても、細やかなコミュニケーションで、うまく人と連携をとりながら、物事をスムーズに進めていく能力は、女子校出身者ならではの強みの一つではないかなと思っています。

「アナウンサー」との出会い

ケガによってバレエを続けることが困難になってしまったことから、帰国後は踊り以外の経験を積もうと決心しました。ミス・インターナショナルへの挑戦もそのうちのひとつです。審査のなかで、スピーチや自己PRを求められたことから、初めて「話すこと」への意識を持ち、バレエで培ってきた「身体」での表現ではなく、「言葉」で表現することの重要性を感じました。そこから話し方教室に通うことにし、授業に講師として来てくださるアナウンサーの方が自分の仕事に愛と誇りを持ってキラキラしている姿に感銘を受け、大学卒業後の進路としてアナウンサーを目指すことに決めました。長年のコンプレックスだった身長(172cm)も、アナウンサーとしては強みになると周囲の方に言っていただき、胸を張って自分らしさをアピールするための自信につながっています。

大学での学びが生かされている取材の場

家政学部児童学科では「子ども」という存在を多角的に、そして実践的に学ぶことができ、実際に子どもたちと触れ合った授業が今でも記憶に残っています。最近、貧困問題を抱える子どもたちの居場所を提供する支援団体を取材した際に、児童学科で学んだ紙芝居の授業を参考にして「さるかに合戦」の紙芝居を作り、読み聞かせをしました。貧困という難しいテーマの取材だったため、子どもたちとどのように向き合うべきか試行錯誤しましたが、思った以上に紙芝居を楽しんでくれて、場の雰囲気が明るくなったことはとても嬉しく、保護者や先生たちとの距離が縮まるきっかけにもなりました。そのほかにも、改めて振り返ってみると、子どもに関わる現場はこれまでに多くありましたが、子どもたちに寄り添いながら取材を楽しむことができているのは、児童学科での学びが生かされているからであると実感しています。

猿と蟹になりきって、手作りの紙芝居を読み聞かせる

寄り添った言葉えらび

意外にもアナウンサーは“話す”仕事ではなく、“聞く”仕事であると日々感じています。
取材では聞き手として、その人にどのような声をかけて、どのような姿勢でいればよいのかを常に考えています。注意しなければならないのは、私たちが聞きたい、言って欲しいと思っていることは相手に見透かされてしまうこと。そのため、初めて会う方のお話を聞くときには、相手の緊張を解きながら、私に伝えようとしてくださっている本心を正しく汲み取れるように、まっすぐ真摯に向き合うことを意識しています。また、実際のリポートでは情報を受け取る側のことを想像して発信し、どのような内容であってもカメラの向こうにいる視聴者を誰一人として傷つけることがないように心掛けています。人に寄り添った言葉選びの先にメディアのゴールがあると信じています。

コロナ禍の影響でさまざまな制限下に置かれる飲食店を取材
プロフィール
下村 彩里さん しもむら さいり さん

附属豊明幼稚園から本学に学び、2019年3月家政学部児童学科を卒業。同年4月に株式会社テレビ朝日に入社し、ビジネスソリューション本部コンテンツ編成局アナウンス部に所属。入社後、報道ステーションのお天気キャスターなどを務め、現在は同番組のフィールドリポーターとして全国を飛び回り活躍中。

インタビューを終えて

自分のアイデンティティであった目標を失っても、また新たに夢中になれるものを見つけ、夢を叶えていく下村さんの生き方に多くのことを学びました。また、アナウンサーという華やかな仕事の裏で、情報を発信する立場としての責任や取材に対する心配りなどのお話を伺えたことは、これから就職活動を控える私にとって、職業人として生きていくために大切なことを教えていただいたような気がしています。下村さんの素敵なお人柄に触れながら、インタビュー中も和やかな雰囲気でお話させていただき、とても貴重な時間を過ごすことができました。
(JWU PR アンバサダー/人間社会学部文化学科3年 三武 永奈)

参考リンク