目白祭で食事提供「今日からできる!簡単おいしい減塩のススメ」

2023.12.06

食物学科3年生有志チーム

10月14日(土)、15日(日)に開催された本学の学園祭である第70回目白祭で、食物学科3年生有志チームが「今日からできる!簡単おいしい減塩のススメ」をテーマに、展示と食事提供を行いました。食事提供は、コロナウイルス流行の影響で4年ぶりに実施できました。

クイズ形式で「減塩のコツ」を伝えた展示

展示を熱心に見る来場者/クイズについて解説する学生
写真左から 展示を熱心に見る来場者/クイズについて解説する学生

展示会場では、来場者は受付でクイズ用紙をもらい、クイズの答えを探しながら熱心にパネルを見ていました。展示は食塩の摂取に関するアンケート結果の紹介から始まります。これは展示を企画した学生たちが実施したもので、18~24歳の大学生男女218名を対象に、2023年7~8月に調査しました。結果は、「自分は塩分を摂りすぎていると思う」と回答した人が7割以上であるのに対して、「減塩を心がけている」割合は半数に満たないということが分かりました。
続く展示では、「食塩の平均摂取量が目標量を大幅に上回ってしまっている」という社会問題を提示。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人一日あたりの食塩相当量について、目標量を男性で7.5g未満/女性で6.5g未満としていますが、「令和元年国民健康・栄養調査」では平均摂取量がそれぞれ10.9g/9.3gとなっており、目標量との間には大きな乖離が存在しています。
そうした社会課題を説明したうえで、次の展示では減塩のコツを紹介しました。展示のポイントは自宅で取り入れやすいよう、減塩に役立つ食品を紹介。その中にはスパイス・お酢といった調味料のほか、香味野菜や牛乳などの意外な食品も。クイズの回答にもなっていたので、来場者の印象に強く残ったのではないでしょうか。
クイズに正解した方には、バナナケーキをプレゼント。バナナにはカリウムが豊富に含まれており、食塩に含まれるナトリウムイオンの排泄を促すはたらきがあります。1日あたり200名分ほど用意したケーキが、両日とも早々に配布終了。2日間通しての来場者は600名を超え、大盛況の展示となりました。

減塩のコツを展示した様子など
写真左から 減塩のコツを展示で確認する/食物学科で実際に使用しているテキストを手に取る/クイズ正解者には景品としてバナナケーキをプレゼント

メニュー開発から調理、提供まで行った「減塩定食」

手際よく調理しスムーズに提供する学生
手際よく調理しスムーズに提供する学生

食事提供は給食経営管理実習室にて行いました。1食600円で食券を販売し、用意した198食を目白祭の2日間で完売することができました。会場では、衛生管理を万全に行った上で食物学科有志の学生たちがスムーズに食事を提供しました。
提供したメニューは「秋の減塩定食」。美味しくてボリュームがあるにも関わらず、1食あたり食塩相当量2.1g(1日の摂取目標量の3分の1)に抑えた定食です。食塩相当量を抑えられたコツは、減塩に役立つ食品を上手く活用したこと。香味野菜で鶏肉の味にアクセントをつけたり、山椒でブロッコリーの味を引き締めたり、出汁と酢で味を際立たせたりなど、より少ない食塩量で美味しく仕上げられるよう工夫しました。味噌汁の食塩相当量を減らすために、牛乳を組み合わせるという驚きの技も取り入れられています。牛乳を入れることで味噌の量が少なくてもしっかり味噌汁の味がするそうです。
定食を食べた人からは「減塩しているとは気づかないほど、それぞれ美味しく味付けされていた」「自宅で真似してみたいと思った」など嬉しい感想をいただきました。

「秋の減塩定食」
胚芽米ごはん、きのこ汁、鶏肉の香味焼き、ブロッコリーのマヨ山椒和え、高野豆腐の海老出汁マリネ、手作りふりかけ、さつまいものはちみつヨーグルト

企画運営した学生へのインタビュー

今回の目白祭での展示と食事提供は、食物学科3年生有志チームが企画・運営しました。食事提供リーダー串田愛以穂(くしだあいほ)さんと、展示リーダーの萬久かなえ(まんきゅうかなえ)さんに、目白祭を終えてお話をうかがいました。

食物学科3年生有志チーム/食事提供リーダー串田さん(左)と展示リーダー萬久さん(右)
写真左から 食物学科3年生有志チーム/食事提供リーダー串田さん(左)と展示リーダー萬久さん(右)

——なぜ今回企画に参加したのですか?
串田:コロナ禍で入学したこともあって、私はサークルにも入らず学業中心の学生生活を送ってきました。このまま卒業するのではなく、学生時代にチームで何かを成し遂げる経験をしたいと思って参加を決めました。

萬久:私も同じことを思っていました(笑)。昨年の目白祭で先輩たちの展示を見て、「自分もやってみたい」と思ったことを覚えています。
 
——「減塩」をテーマにした理由は何ですか?
串田:社会課題を解決するテーマにしたいというのが原点でした。さまざまな検討をした中で、身近で考えやすいテーマとして日本人が食塩を摂り過ぎているという社会課題を取り上げました。
萬久:準備を進める中でも、来てくれた人にとって意味がある展示・食事提供にしたいという思いが強かったですね。どうやったら印象に残る展示になるんだろうと皆で考えました。
 
——展示と食事提供を終えて感じていることは
串田・萬久:とにかく大変でした!(笑)
串田:食事提供はコロナウイルス流行の影響で4年ぶりだったため、食事提供を行った代の先輩からの引き継ぎを受けられませんでした。先生方に相談しながら、ゼロから作り出すのが大変でした。
萬久:減塩のテーマにも難しさがありました。高野豆腐を使うことを決めたものの、減塩を心がけると高野豆腐が薄味になってしまいました。そこで先生にアドバイスいただいて、高野豆腐を揚げてからお酢で味を引き締めることに。目白祭に何とか間に合わせることができました。
 
——学んだこと、得たものはありますか?
串田:私はリーダーを務めたことで、企画を成功に導くためにはリーダーだけが頑張るのではなく、チーム全体を巻き込む力が必要だと学びました。今回は目白祭直前まで中心メンバーが仕事を抱えてしまったのですが、いざ他のメンバーに仕事をお願いしたら快く引き受けてくれて。もっと早くからお願いすれば良かったと、中心メンバー全員で反省しました。
萬久:日本女子大学の食物学科を代表して展示をしたので、その看板を背負う責任感が必要だと私は学びました。展示するパネルの一言一句、レシピに掲載する調理時の温度まで、不適切な情報が無いよう先生方に何重にも確認いただきました。責任感を持って正しい情報を発信するという経験は、就職してからも役に立つと考えています。
 
——今回の経験を生かして今後は
串田:私は就職するか、大学院に進学するか、迷っているところです。どちらにも共通しているのは「食品衛生」に携わりたいということ。今回の食事提供するにあたって、大前提として食の安全に細心の注意を払っています。私は食の安全を担保する研究・仕事に携わりたいです。
萬久:私は将来、食品メーカーに就職して食品開発をしたいと思っています。今回メニュー開発をしてみて大変でしたが、その分食べていただいた方々に「美味しかった」と言われたのはやっぱり嬉しかったです。それを仕事にできたら一番良いなと思って、今就職活動をしています。
 
※今回の出展は公益社団法人日本フードスペシャリスト協会の「令和5年度 啓発活動推進事業」に採択されて実施いたしました。
※家政学部食物学科食物学専攻・管理栄養士専攻は、2025年4月より食科学部食科学科・栄養学科(仮称)を設置構想中です。