アニメ映画とワークショップを通じてこれからのキャリアを考える「低学年向け夏のキャリア・スタートアップセミナー」開催

2023.10.12

アニメ映画とワークショップを通じてこれからのキャリアを考える「低学年向け夏のキャリア・スタートアップセミナー」開催

9月19日〜20日の2日間で、夏のキャリア・スタートアップセミナーが本学で開催されました。本セミナーは日本女子大学現代女性キャリア研究所が主催、キャリア支援課が共催の、主に1年生を対象とした低学年向けのキャリア支援イベントです。講師として、安斎徹先生(清泉女子大学教授・日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員)をお迎えしたセミナーには1・2年生を中心に約20名が受講しました。
Day1のワークレポートと、なぜ今「低学年向け」のキャリア支援に注力するのかを、現代女性キャリア研究所とキャリア支援課の担当者に聞きました。

コミュニケーション・ワークショップ

コミュニケーションのプロセスやコツを学ぶワークショップで、さまざまなテーマに応じて個人ワークやペア・ワークを行いました。
互いの表情から感情を読み取るゲーム、1分間の自己紹介、ヒーローインタビューの実践などを通じて、コミュニケーションには聴く側と伝える側の両方の配慮により、良いコミュニケーションが生まれることを学びました。

興味深いワークの1つでは、学生は話をする相手から目を逸らし、反応をせず、相槌も打たないなど、あえて「悪い聴き方」に挑戦して「良い聴き方」のコツを体得しました。例えば「悩み」といったネガティブな話題でも、聴く側の姿勢次第で、いくらでも話したいという気持ちになれたりもします。「良い聴き方」は、実生活でも非常に役立つものだと安斎先生は話しました。

社会人になってからも必要となるコミュニケーションのコツを、体験とともに教えた安斎先生は、ワークの最後にこのようなメッセージを学生に贈りました。
「必ずしも、コミュニケーション上手=言葉巧みに話す、ということではありません。気持ちの表現や歌など、コミュニケーションの方法はさまざまです。コミュニケーションを図ることで豊かな人生にしていってください」

カードに書いてある指示通りにエピソードを話すワークをする学生
カードに書いてある指示通りにエピソードを話すワークをする学生

『風の谷のナウシカ』から考えるリーダーシップ

このワークではリーダーシップについて考えました。最初に、理想の上司についてディスカッションし、そこからリーダーシップとマネジメント能力の違いについて学びました。
このワークのメインアジェンダとなったのは「ディズニーとジブリの違いとは?」。それぞれのストーリーの特徴、主人公を取り巻く環境や家族関係、人格の特徴、物語で扱うテーマの特徴を捉えました。
ランキング「ジブリ作品の登場人物で理想のリーダーは誰?」(ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会)で1位になった「ナウシカ(風の谷のナウシカ)」を取り上げ、彼女のリーダーシップについてディスカッションしました。

清泉女子大学の教授である安斎先生は、女子学生と話す機会も多いなか、「リーダーになりたい」という学生に出会うことは少ないそうです。この現状を踏まえ、安斎先生はこのように締めくくりました。
「リーダーというのは必ずしもカリスマでなくても良いのです。また、リーダーは生まれ持ったものではなく、学んでいけるものです。一歩踏み出し、小さな挑戦を、意識してやること。そして、自身で振り返ってみることが大切です。ぜひ小さなことでも挑戦していって欲しいと思います」

安斎徹先生

受講した学生の感想

ディスニーやジブリといった、みんなが楽しめる作品を題材にキャリアを学べることに興味を持ち、面白そうだなと思いました。なるべく早い学年のうちにさまざまなことを習得しておきたくて受講しました。
講義の中で知った、ディズニー作品で描かれる女性像の変化は今まで気づかなかったことでした。コミュニケーションワークショップでは、実際に人と話してみて、人の反応による自分の気持ちの違いに気づけたことが、とても良い学びでした。(日本文学科1年)

大学が低学年向けのキャリア支援をする意義とは?

現代女性キャリア研究所では、家族キャリア(※)を含めた女性のキャリアに関する研究を行っていますが、最近、初期キャリアの重要性、さらに大学生活からの連続性について重要だと考えられるようになってきています。そこで就職活動に向かう前にキャリアについて考える準備をしておいてほしいと低学年向けのワークショップを企画しました。以前から共同研究でご一緒していた安斎先生にお越しいただければ、自分をみつめ他者との関係に懼れることなく大学生活を送るための有意義な時間となると考えました。(現代女性キャリア研究所 永井暁子所長)

就職活動に迫られて自己分析や業界研究などを行うのではなく、学生生活を通して緩やかに、かつ、しっかりと将来を考え目標を見つけていくことによって、より自分らしいキャリアを見つけ、学生だからこそできることに挑戦していってほしいと考えています。(キャリア支援課 名和直美課長)

たくさんのメッセージを学生に伝える安斎先生
たくさんのメッセージを学生に伝える安斎先生

2022年度就職率99.1%の実績と内定先の満足度98.5%を誇る本学。全学的にきめ細かなキャリアサポートに取り組んでいます。
マイナビキャリアサポートブックの大学事例集に、本学キャリア支援課の取り組みが取り上げられています。ぜひご覧ください。

※家族キャリア:家族発達論、ライフコース論で主に用いられる概念で、人生における「家族としてのキャリア」の意味。(たとえばJoan Aldous, Family Careers,SAGE, 1996)