初めての食事提供で、目指す将来に近づく—食物学科 管理栄養士専攻 給食経営管理実習—

2023.09.20

厨房を再現したレゴブロックを用いて、人の配置や作業動線のシミュレーションをしている様子。
左から家政学部食物学科管理栄養士専攻3年 稲葉真彩(いなばまあや)さん、堺千聖(さかいちさと)さん、本田海夕(ほんだみゆ)さん、大柳泰子(おおやなぎやすこ)さん


食物学科管理栄養士専攻の3年次には、「給食経営管理実習」という必修の実習授業があります。この実習では学生が班ごとに献立を考え、調理工程を検討し、実際に調理して本学関係者に提供します。今年度は6月7日(水)~30日(金)までの毎週水曜日と金曜日に、A・Bクラス合わせて計8回の食事提供をしました。全ての献立は、多くの医学団体のコンソーシアムが認証している健康増進を目的とした450~650 kcal未満の「スマートミール(ちゃんと)」の基準に従って作成されています。
今回は水曜日の食事提供を担当したAクラスのリーダー4名に、実習を通した学びや管理栄養士専攻の魅力をお聞きしました。

工夫をこらした
献立作成

今回の実習では、班ごとに「和洋中」の様式と「肉・魚・卵・大豆」のメイン食材が割り当てられており、その中で「スマートミール(ちゃんと)」の基準に従って献立作成しました。たとえば「中華×魚」と割り当てられた大柳さんの班では、暑い時期に食事提供することを考えて、テーマを「梅雨のさっぱりお魚ランチ」として、「鯖の竜田揚げトマト油淋鶏だれ」が主菜の献立を考えました。また「洋食×大豆」と割り当てられた本田さんの班では、本田さんの案で、ビーガンの方や乳や卵のアレルギーがある方も安心して楽しめる「大豆ミートのドライカレー」を主菜にしました。
主菜の方針が決まった後、大変だったのは「スマートミール(ちゃんと)」の基準に従って献立を作成することです。稲葉さんの班では、「食塩相当量をどのような工夫をして1食当り3グラム未満に抑えるか」悩んだそうです。肉に塩を使わずに味をしっかりつけるため「レモン」を使用するなど工夫しました。
堺さんの班では、「卵1個」でいかに主菜のボリュームを出すかが課題でした。班で考えた主菜「ふわふわあんかけたまご」のレシピを見た先生から「これだと卵がふわふわにならないよ」と指摘を受けました。どうしたら「ふわふわ」になるのか、班員で悩んで卵に「はんぺん」を混ぜ合わせるという工夫をしました。

準備は話し合いと
試作を繰り返して

給食経営管理実習は、1回の食事提供で完結するものではありません。計8回の食事提供全体を通した栄養バランスを重視します。そのため、各班の献立を個別に評価するだけではなく、一連の給食として食材の重複がないか、栄養に偏りがないか、考えることが必要です。班ごとに使いたい食材が重なってしまった場合には、話し合いを重ねて調整しました。
また4月から食事提供の6月まで、ずっと続けていたのは「試作」です。学生が各自、家で試作しながら献立を決定し、その後も食材の切り方を変えたり、火加減を変えたりと試作を繰り返しました。授業だけでは準備時間は足りず、家で試作して1限の授業前の朝8:30に研究室で先生に食べていただくこともありました。食事提供をするからには、妥協はできません。班を超えて助け合い管理栄養士専攻全体で準備を進めました。

「おいしい」がうれしかった
食事提供日

自分たちの献立で作成した食事を、販売したのは今回が初めてです。誰もが緊張して臨んだ食事提供日でした。いくつかトラブルもありましたが、先生の助言もあって、乗り越えることができました。
 食事提供の後には、アンケートを実施しています。そのアンケート回答が嬉しかったと、リーダーたちは振り返りました。「おいしかった」という言葉がたくさんもらえたこと、450円で販売したが「700~800円の販売が妥当」という回答が多かったことなど、それぞれ心に残っているものがあるそうです。初めての食事提供に不安もありながら精一杯準備をしてきた分、アンケートの結果は大きな達成感に繋がりました。

手際よく料理を提供し、当日の食事を紹介する映像を「デジタルサイネージ」に放映した

実習を経た今、目指す
将来像とは

将来について思い描いているものには、それぞれ違いがあります。管理栄養士としてスポーツの分野で活躍したいと考えているのは本田さんと、大柳さんです。本田さんはアスリートの栄養管理に携わりたいという夢があります。大柳さんはスポーツトレーナーの資格を取得してダブルライセンスとして、一般のスポーツをする方を栄養面でサポートしたいと考えています。
また食に携わる企業へ就職することも含めて幅広く将来を検討しているのは、稲葉さんと堺さんです。堺さんは今回の実習で、自分たちの献立を食べた人が喜んでくれた経験が嬉しく、企業で献立を考えることにも魅力を感じているそうです。
この実習を通して、それぞれ得たものがあります。食材の切り方ひとつで見栄えや食べやすさが変わることなど、今まで気にしていなかった視点を獲得できたこと、班員とコミュニケーションする中でリーダーとして必要な力も磨かれました。これらを今後の実習でさらに伸ばしつつ、目指す将来に着実に近づいていきたいと考えています。

管理栄養士専攻の魅力は
助け合って成長できること

管理栄養士専攻は1年次から実習や必修の授業が多いので、管理栄養士専攻全体が1つのクラスのような一体感があります。女子大学というと、女性同士の人間関係が大変そうだなどといった高校生の声も聞きますが、管理栄養士専攻は仲が良いのが自慢です。また実習の質が高いこと、充実した設備が揃っていること、指導力のある先生に親身に教えてもらえることも魅力だと感じています。
管理栄養士になるためには、幅広い知識を身につける必要があります。微生物や食品衛生関連の法律、人体の構造や病態の理解、さらに臨床栄養学への展開など、食に関わるあらゆる分野を学ぶことは大変です。しかし、それが楽しいところでもあります。充実した毎日が送れることは間違いないですし、知識が増えるにつれて自分がバージョンアップしていくのを実感できます。
 今、進路選びをしている方の中で、大変そうだから管理栄養士を目指すか迷っているという方がいれば、ぜひ飛び込んでみてほしいです。忙しくてもサークルやアルバイトとの両立もできます。管理栄養士の資格はもちろん、得た知識は日常生活にも役立つので、入学して後悔はしないと思います。日本女子大学でお待ちしています。

提供メニュー一覧

<ハーブ香る!さっぱりランチ> 

胚芽米、コンソメスープ、鶏肉のレモンハーブ焼き、コールスローサラダ、マンゴーソースの ぷるんとヨーグルト

<歯と口の健康習慣ランチ>

胚芽米、ごぼうと豚肉の味噌汁、鯵の南蛮漬け、蓮根と小松菜のわさびマヨ和え、りんごとキウイのはちみつレモン

<初夏の彩り和定食> 

胚芽米・かつおふりかけ、切り干し大根と小松菜の味噌汁、ふわふわあんかけたまご、生姜香る夏野菜の和風マリネ、オレンジ

<食欲そそる!カラフル中華>

胚芽米、にんじんと卵のスープ、厚揚げのピリ辛炒め、きゅうりともやしの さっぱり和え、生姜杏仁豆腐

<梅雨のさっぱりお魚ランチ> 

胚芽米、コーンとわかめのスープ、鯖の竜田揚げトマト油淋鶏だれ、豆苗ともやし・干しエビのナムル、パイナップルとライチの盛り合わせ

<ヨーロッパの味わいをお届け!贅沢5品ランチ> 

焼きたてパン、ミネストローネ、トルティージャ、夏野菜のソテー、ロイヤルミルクティー プリン

<Let's Enjoy Vegan!>

ターメリックライス、枝豆の豆乳スープ、大豆ミートのドライカレー、カリフラワーとパプリカのマヨ和え、ココナッツプリン

<こだわりつくね定食>

胚芽米、小松菜としめじのすまし汁、味噌つくね南蛮茄子添え、オクラと人参の胡麻和え、桃のシャーベット