受賞者・受賞団体紹介

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過去の受賞者・受賞団体

※所属、役職等は受賞当時のものです。

第15回(2019年度)受賞者・受賞団体

特別

差波 亜紀子 氏
(法政大学 文学部 兼任講師)

奨励

安野 直 氏
(早稲田大学 文学研究科 博士後期課程)

奨励

五十嵐 舞 氏
(一橋大学大学院 社会学研究科 博士後期課程)

特別

差波 亜紀子 氏
(法政大学文学部 兼任講師)
研究テーマ 近代日本の女性知識層の広がりと社会的役割を明らかにすること
受賞理由

 今回提出された具体的な研究成果は、平塚らいてうの評伝『日本史リブレット人093 平塚らいてう-信じる道を歩み続けた婦人運動家』(山川出版社、2019年2月)である。

 既存研究を踏まえつつ、一般読者向けに、らいてうの全生涯を簡明に紹介することを企図した良書である。本文の各所に、適切な頭注が付され、疑問を残さず読み進められるように配慮されている。新出資料の発掘や新視点から論ずることをめざした書ではない点がやや物足りないが、逆に、らいてうの思想や活動の分析を専らにした研究では言及されてこなかった興味深い記述も多々みられる。例えば、らいてうの父が編み物上手で、幼い頃、手袋を編んでくれたエピソードなど、進歩的で恵まれた生育環境を髣髴とさせる。

 ジェンダーギャップが153ヵ国中121位という現代日本において、女性解放に力を尽くしたらいてうの軌跡を知らしめる本書が遍く読まれ、現状打破に繋がることを期待したい。


奨励

安野 直 氏
(早稲田大学 文学研究科 博士後期課程)
研究テーマ ロシアにおける性的少数者のナラティブの構築
-レズビアンとトランスジェンダーを中心に
受賞理由

 先進国を中心にLGBTQの権利を認める動きが急速に起きている。男性と女性という二元論的な区別を超えて、女性あるいは男性の中の多様性を認め、それを理解することは、ジェンダーをより深く理解し、そこから解放されるために欠かせない作業である。しかし、性的少数者に関する実態はそれほど明らかにされているわけではない。また、社会主義の国では性の多様性がどのように受け入れられ、語られてきたのか。それが経済の発展とともに、どのように変遷してきたのかについての研究も少ない。本研究はロシア文学の作品を通して性的マイノリティーがどのように語られ、またそのナラティブがどのように変遷していたのかを分析している。テーマの先進性と今後の発展性を評価し、受賞に値するとの判断に至った。

          

奨励

五十嵐 舞 氏
(一橋大学大学院 社会学研究科 博士後期課程)
研究テーマ 9/11以降の性暴力をめぐる言説とトニ・モリスンのフェミニズム
受賞理由

 本研究は、近年のマイノリティについてのさまざまな議論や権利の主張のなかで、原点ともいえる黒人女性作家のトニ・モリスンの作品を中心として論じたものである。五十嵐氏は9/11の惨事においても白人中心の情報が正当化されている現実を踏まえてアメリカの黒人に対する意識や差別を浮き彫りにし、マイノリティに対する蔑視や性暴力といった現代社会にもなお存在する問題を明らかにすることを目的としている。

 今後の研究においては、五十嵐氏はトニ・モリスンの9/11以降の作品をとおして、彼女の収集した史資料の調査から性暴力やそれに対する過去の議論や社会運動等を明らかにし、現代社会における女性に関する問題をさまざまな角度から検討してモリスン作品の意義と彼女のフェミニズムを明らかにしていくことを目指している。

 以上の五十嵐氏の研究は、これまでの発表や論文をさらに進展させる可能性を示唆しており、らいてうの目指した女性解放に関する研究に該当するものである。


第15回 選考委員


  1. 蟻川 芳子  〔学校法人日本女子大学理事長、日本女子大学名誉教授、一般社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会理事長〕
  2. 出渕 敬子  〔WILPF(婦人国際平和自由連盟)日本支部副会長、日本女子大学名誉教授〕
  3. 倉田 宏子  〔城西国際大学客員教授、日本女子大学名誉教授〕
  4. 佐々井 啓  〔アジア地区家政学会(ARAHE)会長、日本女子大学名誉教授〕
  5. 大沢 真知子 〔日本女子大学 現代女性キャリア研究所所長〕

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