受賞者・受賞団体紹介

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過去の受賞者・受賞団体

※所属、役職等は受賞当時のものです。

第13回(2017年度)受賞者・受賞団体

顕彰

中村 久司 氏

顕彰

佐久間 亜紀 氏
(慶應義塾大学 教職課程センター)

奨励

川口 かしみ 氏
(早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程)

顕彰

中村 久司 氏
研究テーマ シルビア・パンクハーストの女性解放と国際平和活動の研究
講評

 今回の応募作品の中で、ひときわ光っていたものは中村久司氏の著書であった。内容は男女平等の思想に目覚め、女性参政権の獲得に献身的な努力をし、ついにそれを実現させたパンクハースト母娘(エメリン、クリスタベル、シルビア)の思想と行動を具体的に描き、英国の女性たちの理想実現の激しい闘いを伝えている。

            

 中村氏の方法はサフラジェットたちの努力と苦闘の跡をしっかりと把握するために、ロンドンを始め英国各地の歴史を実際に訪れて調査・記録し、史実を尊重し説得力を生み出したものである。読者は自らもその場に居合わせたかのように、女性参政権運動が社会を揺るがせた大波小波を見る思いがする。著者の見方は巨視的であると同時に微視的で、さすがに歴史家の優れた洞察眼が発揮されている。

          

 中村氏は勤務していた税関を退職後、英国の大学院で調査研究、博士号を得た。英国に永住し、歴史的・社会的・地理的な視野から同国の民主主義を研究し続けており、再び新著が書かれる日を待ちたいものである。


顕彰

佐久間 亜紀 氏
(慶應義塾大学 教職課程センター)
研究テーマ 男女共同参画社会を実現するための教師をどう育てるか、その研究と実践
講評

 男女共同参画社会の実現には、教育が重要であり、教員の果たす役割が大きいことは言うまでもない。しかし、日本では教員教育を改革改善するための学術研究の歴史は浅く、ジェンダーの視点からの研究蓄積はさらに乏しい。

            

 こうした状況下で、応募者が刊行された『アメリカ教師教育史研究―教職の女性化と専門職化の相克』(東京大学出版会、2017年)は、米国で何故教職が女性職となり、何故未だに教師の社会的地位が低く低賃金が続いているのかを、新資料による裏付けとジェンダーの観点から明らかにした画期的な研究成果である。米国では公的な教師養成機関は19世紀初頭に女子校として設立され、そこで教鞭を取ったのは女性であった。この女子校が日本の女子師範学校設立に大きな影響を与えたという基礎的史実も明らかにされた。

          

 本書の研究は、このように女性史・教育史・教師教育史を架橋する重要な意義を持つ。また、教師の社会的待遇を改善せず、カリキュラム改革を迫るだけの政策を約百年続けてきた米国教育史の検証は、日本の教師教育にも警鐘を鳴らし、その改革に大きな示唆を与えるだけでなく、男女共同参画や女性解放にも資すること大であろうと期待される。


奨励

川口 かしみ 氏
(早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程)
研究テーマ 憲法上のジェンダー平等規定とその解釈 -憲法24条の再定位
講評

 日本は今大きな時代の転換点を迎えている。これからの社会では、より多くの女性が妻や母としてだけではなく、個人として自己実現し、自己のアイデンティティを確立する時代になる。他方、現実には憲法24条改正草案が提出され、女性の権利を制約し、家族のあり方や性別役割を固定化するような法律案が議論されている。

        

 そのような時代背景の中で、個人としての女性を尊重しつつ、憲法24条を再解釈することで、私的領域における国家の不介入を基礎とする従来の憲法の枠組みを維持しながら夫婦間の平等保障を可能とし、社会のジェンダー平等実現を実現し、家庭内でのジェンダー平等を実現するための制度構築について考察することを目的とする本研究は、時宜にかなったものであると同時に、賞の趣旨に合致したものであり、奨励賞に値するものと判断した。


第13回 選考委員


  1. 蟻川 芳子 〔学校法人日本女子大学理事長代行、一般社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会理事長、日本女子大学名誉教授〕
  2. 出淵 敬子 〔WILPF(婦人国際平和自由連盟)日本支部副会長、日本女子大学名誉教授〕
  3. 倉田 宏子 〔城西国際大学客員教授、日本女子大学名誉教授〕
  4. 大沢 真知子〔日本女子大学 現代女性キャリア研究所所長〕

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