ともに学ぶ仲間が震災を乗り越える力をくれた ともに学ぶ仲間が震災を乗り越える力をくれた

生活芸術学科(1年次入学)

菅野さん
(50歳代・東北地方在住)

学びが、私の絶望的な状況を立て直す支えに

一級建築士として設計の仕事をしながらユニバーサルデザイン社会の実現を目指してNPOで活動していました。自分の理想とする街づくりを実現するには、しっかりとした理論を学ぶ必要があると感じていたころ、日本女子大学を卒業した友人が私の心を見透かしたかのように、「日本女子大学の通信教育課程で家庭科の教員免許を取得した知り合いがいるの、通信教育でも大学を卒業できるのよ。あなたは学ばないの?」と言われたことから、通信教育という学び方に巡り合いました。

「子どもの教育が終わったら次は私が大学に通う番」と家族に公言していた私は、2011年4月の入学に向け意気揚々としていました。しかし、3月11日に東日本大震災が発生。福島県はインフラの被害に加えて原発事故による深刻な放射能汚染が広がり、果たして学習を始められるのかと絶望感に襲われました。ところが、大学から送られてきたテキストを開くと不思議と気持ちが落ち着く自分がいたのです。死者や行方不明者、避難者が増えていく最悪の状況のなかで、何ができるのかを苦悩する毎日でしたが、学ぶことは私の心を支えてくれました。

入学から卒業論文まで、仲間がいたからできた

私が住む地区は、原発事故による放射線量が局所的に高いホットスポットです。放射線への不安は想像以上に大きく、住民の暮らしは崩壊寸前でした。私は住民有志とともに放射線量の分布マップをつくり、簡易放射線測定器を使って食品の放射線量を測定し、市民にその情報を提供するなどの活動に携わりました。

生活芸術学科を選んだのは、ユニバーサルデザインを住居学の視点から深く学ぶためでした。その学びでは、住居学を体系的に捉え、生活を様々な角度から見つめることができ、私に「“本当に豊かな生活とは何か”を考えるのが仕事なのだ」と、あらためて認識させてくれました。これは、地域の活動を行うにあたっても大きな収穫となりました。

あの日、絶望の中で始めた学びですが、ここまで継続して、卒業論文をまとめることができたのは、人との出会いが力になったと感じます。通信教育課程で手に入れたもので何が一番大切かと問われたら、「スクーリングや科目修了試験で出会った友人たち」と答えます。また、日本女子大学家政学部賞*の特別賞、「10周年記念賞」を授与してくださった家政学部の先生方、復興支援に来てくださった先生や学生さんの存在も忘れることはできません。

日本女子大学の通信教育課程は、学びたいときに学ぶことができ、大切な人たちに出会えた場所です。

*日本女子大学家政学部賞
家政学部では、私たちの生活をより合理的で豊かなものにするために、家庭生活や生活環境に関わる諸問題を自然科学的・人文科学的・社会科学的に探求し、人類の福祉に広く貢献する個人および団体の活動を奨励することを目的として2008年に創設。対象は国内外の個人および団体(企業・グループ)。2017年度は創設10周年を記念して特別賞として「10周年記念賞」が設けられた。

(創設70周年記念シンポジウム「願いの扉」
第二部 卒業生・在学生プレゼンテーションより)

DEPARTMENT
INTRODUCTION

学科紹介

生活芸術学科

快適な暮らしと環境を考えるために、「被服学」と「住居学」の2分野から基礎的な専門知識と関連分野の幅広い知識を修得します。これらの知識をもとに科学的・文化的視野を持って、合理的な衣生活や暮らすための住空間を究明します。さらに、生活芸術学科の科目のほかに必要科目を加えて履修することで、中学校一種・高等学校一種「家庭」の教育職員免許状および学校図書館司書教諭の資格を得ることができます。また、木造建築士、二級建築士の受験資格や繊維製品品質管理士取得のための科目も配しています。

生活芸術学科