日本女子大学家政学部は、10月19日(日)午前10時〜12時30分に、目白キャンパス桜楓会館4階ホールにて、第1回「家政学部賞」授賞式および記念講演会を開催いたしました。
当日は学園祭の開催中で、家政学部賞授賞式と記念講演会にも多くの方々が来場されました。
日本女子大学家政学部では、私たちの生活をより合理的で豊かなものにするために、家庭生活や生活環境に関わる諸問題を自然科学的・人文科学的・社会科学的に探求し、人類の福祉に広く貢献する個人および団体の活動を奨励することを目的として、本年度から「家政学部賞」を創設しました。対象は国内外の個人および団体(会社・グループ)です。選考は、家政学部の専任教員を中心に行い、academicな正当性があるものを選抜するようにこころがけ、本年の受賞対象者は以下の通りとなりました。

受付の様子(当日は多くの来場者がありました)
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児童学分野 |
谷川俊太郎氏 (ビデオメッセージ) |
| 食物学分野 | 日米医学協力計画-栄養代謝部会 (代表:自治医科大学・川上正舒教授) |
| 住居学分野 | 渡辺篤史氏とテレビ朝日「渡辺篤史の建もの探訪」 |
| 被服学分野 | 宇宙飛行士土井隆雄氏と「近未来宇宙暮らしユニット」 |
| 家政経済学分野 | 水沢地方農業担い手女性塾 |
開会に先立ち、佐藤和人家政学部長・食物学科教授より日本女子大学家政学部賞についての主旨説明に続き、後藤祥子学長からの挨拶がありました。
そして授賞式が行われ、本年の5つの分野の受賞対象者へ表彰が行われました。
受賞者記念講演では、児童学分野では、詩人である谷川俊太郎氏からビデオメッセージを寄せていただきました。インタビューは本学児童学科の学生2名により行われ、半世紀以上にわたり、詩、絵本のテクスト等の創作活動や海外の絵本の翻訳等を通じて、日本の子どもたちとことばのたのしみを分かち合ってきた受賞者から、多くのお話しをいただきました。
食物学分野では、日米医学協力計画-栄養代謝部会代表である自治医科大学 川上正舒教授から「栄養調査および栄養関連疾患に関する研究によるベトナム国への貢献」に対する講演が行われ、1997年から行われているベトナム国における栄養問題と関連疾患に関する研究を始め、「日本における国民栄養調査の方法や結果」や「栄養学の最新情報」等について、ベトナム国への指導・導出を積極的に行い、栄養に関する研究・調査技術の向上に大きな貢献を果たしていることが講演にてわかりました。
住居学分野では、テレビ朝日「渡辺篤史の建もの探訪」制作プロデューサーより挨拶があり、俳優渡辺篤史氏から長年にわたる住まい手の目線に立って優れた住宅建築を広く一般に紹介してきた番組エピソードを詳しく話され、20年間にわたり放送され続けている長寿番組のルーツを知ることができました。
被服学分野では、土井隆雄宇宙飛行士と「近未来宇宙暮らしユニット」の皆さんが出席され、土井宇宙飛行士より、本学被服学科多屋淑子教授がリーダーとなり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と産学官連携による「近未来宇宙暮らしユニット」で開発した船内衣服の成果について、普段聞くことの出来ない貴重な事例について知ることができました。
家政経済学分野では、水沢地方農業担い手女性塾の代表の方々より挨拶があり、岩手県水沢地方が男女共同参画社会に近づくために女性塾のメンバーがリーダーシップを発揮し、地域で起業をし、生産物を販売し、地域経済の活性化に重要な役割を果たしているという内容の講演がありました。
いずれの授賞分野においても、「家政学」が人間の生活と密接な関係を持ち、様々な分野において重要な役割を果たしていることがこの講演会においてわかりました。
なお各分野における授賞理由詳細は、以下の通りです。

佐藤和人家政学部長・食物学科教授から
家政学部賞についての主旨説明

後藤祥子学長の挨拶

授賞式の様子

各分野の方々へ表彰状が授与されました

受賞者記念講演 児童学分野
谷川俊太郎氏のビデオメッセージ

食物学分野 日米医学協力計画-栄養代謝部会代表
自治医科大学 川上正舒教授による講演

住居学分野 ユーモアの溢れた講演をされた
俳優渡辺篤史氏

被服学分野 土井隆雄宇宙飛行士による講演

家政経済学分野 水沢地方農業担い手
女性塾メンバーからの講演
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児童学分野 |
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| 授賞対象 | 谷川俊太郎氏 |
| 授賞理由 | 20世紀から21世紀にかけて半世紀以上、詩、絵本のテクスト等の創作活動、および海外の絵本の翻訳等を通じて、日本の子どもたちとことばのたのしみを分かちあってきた功績に対して 谷川俊太郎氏は、父である谷川徹三氏とその友人三好達治氏に詩才を認められ、1952年に詩集『二十億光年の孤独』を刊行した。「穴ぼこだらけの東京に 若者らしく 哀切に 悲哀に於いて快活に・・」「冬のさなかに永らく待たれたものとして 突忽とはるかな国からやってきた」(「序にかへてー三好達治」)俊太郎青年は、20歳であった。以来、詩集や対談集を出版し、歌の作詞や脚本等を手がけ、子息賢作氏(ピアニスト・作曲家)との『クレーの天使』をもとにした音楽と詩のコラボレーションの会、あるいは詩の朗読と踊りや琵琶や笛の催しに登場するなど、まことに豊かなその実りを、国内外の人々は享受してきた。英語ほか外国語に訳された作品は多数あり海外も含め受賞歴も華やかである。 特筆すべきはその実りの薫りと味わいを堪能する子ども読者の存在である。「はなののののはな はなのななあに」「さるさらう さるさらさらう さるざるさらう」をおさめた『ことばあそびうた』はこの35年の間、親子2代に亘って愛誦されてきた。これらは身体運動をも促す音声言語芸術であり、舌にのせ耳で確かめることによって音の響きやおもしろさ、ことばの宇宙の広がりを実感させる。本来ことばという手近な遊び道具は、伝承わらべうたの領域で重用された。谷川氏は英語圏伝承童謡『マザー・グース』を訳出したのち、子どもの遊びの現場で消滅した日本の『わらべうた』の編纂を目指し「おやゆび ねむれ・・・こゆびみな ねねしな ねねしな ねんねしな」のようなおだやかな眠らせうたや、「しょうがつ かどまつ にがつは はつうま」のように季節の行事のうたを選んだ。子どもの無形文化財の復興と保護にも貢献したことになる。そして子どもへのまなざしにはいつも愛と光が満ちていて、かつユーモアで引き締まっている。「あれはね こどもを しかってるんじゃない おとなを しかっているんだよ こいつめ こいつめって」(「かみなり」)。子どもたちは谷川氏作詞の「鉄腕アトム」や「ハウルの動く城」の主題歌をうたう。校歌が谷川作詞によるという生徒も多いだろう。「だれかがどこかで習ってる」(「日本語のおけいこ」)ことばではあるが、「きもちのあとからことばがついてきた」(「きもち」)ぼくのように、まず感情をもつ生命体があって、その揺らぎがちで孤独な心をすぐ隣にいる他者に繋ぐ、あるいはひろやかな宇宙へと解放するのがことばであり、ことばは私たちがもって生まれた宝であると谷川氏はうたう。朗読会や国際的な活躍に加えて、子どもにつたわることばの可能性を信じ、人間、生命、自然の姿を多彩な形式の詩作によって新鮮に描きだしてきたその功績を讃え、日本女子大学家政学部賞を授与する。 |
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食物学分野 |
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| 授賞対象 | 日米医学協力計画-栄養代謝部会 (代表:自治医科大学・川上正舒教授) |
| 授賞理由 | 栄養調査および栄養関連疾患に関する研究によるベトナム国への貢献に対して 日米医学協力計画-栄養代謝部会(代表 自治医科大学 川上 正舒 先生)は、厚生労働省の国際医療協力研究として、1997年よりベトナム国における栄養問題と関連疾患に関する研究を行っている。主な内容は、 1) ホーチミン市およびハノイ市において都市部と郊外の栄養状況調査 2) ベトナム北部風土病の原因究明研究 3) ベトナム食材の薬理活性検討 であり、特に 1) の研究では栄養摂取状況の調査(一部は、リポ蛋白の遺伝子型の解析を含む)により、両市共に、特に農村部で著しく低栄養であるという実態を始めて明らかとしている(本研究は5報の論文として報告されている)。 また同部会は研究と同時に「日本における国民栄養調査の方法や結果」、「栄養学の最新情報」等について、ベトナム国への指導・導出も積極的に実施し、同国の栄養に関する研究・調査技術の向上に大きな貢献も果たしている。 日米医学協力計画-栄養代謝部会の活動は、日常的な食生活習慣が健康に及ぼす重要性を明らかにするとともに、国民の健康状態を自国の産物により改善できるようにすることを目指しており、生活する人々を尊重して食のあり方を研究する「家政学」のモデルとして優れている。これまでの実績と研究成果が人々の生活に反映されることを期待して、日本女子大学家政学部賞を授与する。 |
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住居学分野 |
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| 授賞対象 | 渡辺篤史氏とテレビ朝日「渡辺篤史の建もの探訪」 |
| 授賞理由 | 長年にわたり、住まい手の目線に立って優れた住宅建築を広く一般に紹介してきた功績に対して テレビ朝日系列のテレビ番組「渡辺篤史の建もの探訪」は1989年4月1日の放送開始以来、今年で20年目に入る長寿番組であり、放送回数も年内には1000回を越えようとしている。渡辺篤史氏は同番組のパーソナリティを長年にわたって務めてこられた。 無数の住宅の中から制作スタッフが掘り起こしたユニークな住宅を住まい手の目線に立って紹介する「建もの探訪」の番組スタイルは、著名建築家の作品に偏重した建築ジャーナリズム業界とは一線を画し、無名な建築家の設計になる狭小住宅から郊外地の邸宅、あるいは古民家のリフォームに至るまで多様な住宅のあり方を肯定し、生活者にとって真に優れた住居のあり方を世に問うているといえる。また、住まい手である施主の希望とそれを汲み取って居住空間として実現した設計者の意図にまで踏み込んだ番組中のコメントは、渡辺篤史氏の建築に対する深い造詣に裏打ちされたものであり、その温厚な人柄と相俟って、建築家が設計する住宅を特別なものではなく普通の生活者にとっても身近なものとして理解される社会的土壌を育んできた。 昨今のデザイナーズ・ハウスや若手建築家の斬新な住宅建築を紹介する一般誌の刊行やテレビでのリフォーム番組の人気も、渡辺篤史氏と「建もの探訪」制作スタッフの長年にわたる地道な布教活動なしには成立し得ないものであり、現代における建築と生活者の健全な関係の礎を築いた氏と番組制作スタッフの功績を賛え、日本女子大学家政学部賞を授与する。 |
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被服学分野 |
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| 授賞対象 | 土井隆雄氏(宇宙航空研究開発機構 宇宙飛行士)と「近未来宇宙暮らしユニット」 |
| 授賞理由 | 有人宇宙開発に初めて「生活」の視点の必要性を認め、2008年3月のSTS-123ミッションにて、「近未来宇宙暮らしユニット」が開発した船内服の評価実験を行い、今まで地上実験では解明できなかった事象を明らかにしたことに対して 土井隆雄宇宙飛行士は、1997年、日本人初の船外活動を実施し、その時に、衛星を手でつかまえる偉業をも成し遂げている。2004年、日本女子大学におけるJAXAタウンミーテングでは、ヒューストンからテレビ会議にて、一般の参加者や学生と意見交換を行うなど、宇宙を身近にする活動も積極的に行っている。今年2008年の3月には、日本実験棟「きぼう」を国際宇宙ステーションに建設する記念すべき1J/A(STS-123)ミッションを実施し、「きぼう」の船内保管室の取付けや整備などを担当している。このミッションにおいて、宇宙開発の有人宇宙活動分野に、初めて「生活」という視点の重要性を認め、被服学科多屋淑子教授がリーダーにて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と産学官連携による「近未来宇宙暮らしユニット」で開発した船内服の着用評価を行い、地上実験では解明できなかった事象を明らかにしている。その成果は、今後の宇宙での長期滞在に必要な船内服開発のために有用なばかりではなく、地上の福祉分野や極限環境の衣服にも貢献でき、地上で生活する人々に、希望とはるかな宇宙への夢を与える功績も大きい。 一方では、宇宙での生活支援研究の進展に伴い、本学の被服学科の教育研究領域は宇宙にまで拡大し、学生の勉学に対するモチベーションも高まり、土井飛行士と船内服を開発した「近未来宇宙暮らしユニット」メンバーの被服学教育への影響は非常に大きいと言える。以上の功績を讃え、日本女子大学家政学部賞を授与する。 |
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家政経済学分野 |
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| 授賞対象 | 水沢地方農業担い手女性塾 |
| 授賞理由 | 女性塾の新しい農業へ向けた提案・行動に対して 第一に、水沢地方が男女共同参画社会に一歩でも近づくために、女性塾のメンバー全員が地道にリーダーシップを発揮してきたことが評価される。女性塾の11名は家族経営協定の締結によって女性の家庭内での地位を高めるために、「家族経営協定を結ぶとこんな良いことがあるのだ」ということを寸劇に仕立てあげていろいろなイベントで上演している。また家族経営協定を普及させるために夫婦で講演に出かけたりして全国的にも活躍している。農業の世界で女性の地位向上に果たした女性塾の役割は大きく、今後さらにがんばっていただきたい。 第二に、農業の世界で重要な役割を果たしてきたことが評価される。水沢女性塾のメンバーの中には農業委員としてがんばっている人も多く(日本の農業において女性が農業委員になるのは非常に珍しい)、また、女性塾のメンバーは全員、自分達の地域で近隣の農家の女性達を誘って起業をし、そこで生産した品物を販売することによって地域経済の活性化にも重要な役割を果たしている。その意味では女性塾のメンバーは全員、経営者でもあり、日本の農業・農村を活性化するために今後とも活躍してほしい。 第三に、女性塾とは本学学生の卒業論文や修士論文の調査の引き受けや、学生の農家ステイの受け入れを通じて長いおつきあいがあり、彼女達の人柄は非常に信頼できるものであることが挙げられる。 以上の理由から、日本女子大学家政学部賞を授与する。 |