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授賞対象



放射能からきれいな小国を取り戻す会 安全安心親睦委員会



授賞理由



東日本大震災時の原発事故に伴う高い空間放射線地域に生活する住民による地域再生活動に対して



 

 福島県伊達市霊山町小国は、阿武隈山地を含む中通りに位置する風光明媚な農村地域である。この地は明治31年(1898年)に農業協同組合が創立され、かつては養蚕や果樹栽培の盛んな地域であった。近年では、野菜・果樹・畜産・しいたけ栽培等の多様な農業を展開していたが、2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故により、「ホットスポット」とよばれる空間放射線量の高い地域に一変してしまった。当時は、約400世帯中の一部の90世帯のみが特定避難勧奨地点に指定され、同じ地区内に、賠償やさまざまな支援を受け避難する世帯、支援を受けられないまま避難する世帯、地域内に留まり今までどおりの生活をせざるを得ない世帯が混在することとなり、従来の良好なコミュニティが崩壊される寸前となった。この時、放射能汚染の実態や支援の有無などの情報も殆ど開示されず、地区内で収穫された米からは国の暫定基準値を超える放射性物質が検出されるなど、住民は不安な中での生活を余儀なくされていた。
 そのような状況において、住民は、自らの力で自らの生活の安心安全を守る必要性を強く認識するに至り、2011年9月には、地区の約6割の住民(会員数300名・260世帯)が参加して「放射能からきれいな小国を取り戻す会」を設立し、住民自らの力で地域再生をめざす活動を開始した。主な活動は以下のようである。

 

  1. 1.小国地区の空間放射線量を定期的に測定して詳細なマップを作成し、汚染実態を正 
    しく把握するとともに、生活上の注意喚起を行う。
  2. 2.地区内の農産物等の放射性物質を「微量放射能簡易測定器」を用いて測定し、食に
    よる内部被曝を積極的に回避する。
  3. 3.地域再生を目指して、大学等の研究機関と連携して生活の安心・安全を守るための方策を探索し、その成果を実践する。ちなみに、家政学部の教員有志は、2012年から交流を続け、連携して生活支援活動を行っている。

 このように、住民は大きな不安を抱える一方、心身の健康を維持するために、科学的データを自ら収集して、現実を客観的に冷静に見つめる努力を行いながら、最善の方策を探索する活動を真摯に継続している。最近では、若い世帯が戻りつつあるという。

 住民による住民のための「放射能からきれいな小国を取り戻す会」の安全安心親睦委員会の活動は、本年度の家政学部賞のテーマ「安心・安全」に相応しく、家政学部として推薦する次第である。

 以上の理由により家政学部賞10周年記念賞を授与する。