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まず、根を張ろう

 学部生時代に初めて能に出会い、その迫力に圧倒されたことで私の人生は方向付けられたといっても過言ではないでしょう。能で卒業論文を書き、研究をさらに続けようと大学院に進んではみたものの、専門的な用語が自分の頭の上を飛び交う状況に困惑し、あまりにも物を知らない自分が情けなくなることもしばしば。その一方、学外の研究会に参加し最新の研究成果に接する喜びを知ったのもこの頃です。中世演劇である能は、作品の素材摂取に関わる問題に始まり、音韻学や音楽面・演出面の問題など様々なアプローチが可能であり、近年では理系の研究者を交えての共同研究まで行われています。学際的・脱領域的な研究が求められる昨今、人文学の領域もその例外ではありませんが、拠り所を持たない根なし草ではいずれ枯れてしまいます。豊かな学識とそれに基づく高度の専門的な研究能力を身につけた人材こそが、最新の学際的研究にも柔軟に対応できるのです。文学研究科は、少人数のきめ細やかな専門教育と3専攻の連携による学際的カリキュラムにより、学際的視座を持つ人材の育成を目指しています。

日本文学専攻 石井倫子教授